怒られてばかりいた、香港・マカオ・中国ツアーの素人添乗員

学業の傍ら、銀座にあった旅行社でバイトをしていたとき、ある日突然言われた。「香港・マカオ・中国ツアーの添乗員になれ」　ええっ、経験ゼロなのにっと、のけぞったけど、結局行かされた。

羽田でツアー参加者に、香港空港での待ち合わせ場所を通達した。ところが、そこは立ち入り禁止区域だった。全員がそこに入ろうとして、空港係員に引き戻されていた。勿論、その全員に叱られた私。

香港からマカオに渡るフェリーの中で、どう数えても一人足りない。香港のガイドと二人で泡を食って探すと、ひっそりと中国本土行きのフェリーに乗っていた、四十絡みの一人参加の男性を発見。一体どこに行くつもりだったのだろう。

中国の広州では、香港、マカオ、そして中国のガイドと三人もガイドがついていて、楽チンだった。客が寝静まってから（なかなか寝ないのね、それが）、四人で食べたラーメンのおいしかったこと。

ガンモドキのような香港、素朴なオヤジ風のマカオ、控えめでハンサムな中国のガイドの顔は今でも懐かしく思い出す。旅行中しょっちゅう怒られたツアー参加者の顔は忘れたけど。

今中国との関係がギクシャクしているが、庶民レベルで考えると、ユーモアを解し、思いやりのある多くの中国人に出合った。宇宙レベルで考えると、地球なんてちっぽけな星なのに……　ねえ。