五つのドーナツと引き換えに、マニラでもらった素敵なプレゼント
フィリピンはその国民性が好きで、よく行った国です。あるとき、マニラの街を散歩していると、小学校へ上がる前くらいの子供達が五人やってきて、手を差し出して言いました。「ペソをちょうだい」
小さいのに、みんな怖い顔をしています。子供にお金を上げるのはいやなので、五人引き連れてフランチャイズのドーナツ屋さんに連れて行きました。ピンクの日除けのかかったドーナツ屋さんの前で、最初子供達は入るのをためらっていました。
「好きなドーナツを一つずつ選んでいいのよ」と言うと、いっせいに中に入って真剣に並んでいるドーナツを吟味しています。やがて、ドーナツを手に持って、子供達が店の外に出てきました。子供達の顔は、さっきとは別人のように明るく輝いていました。本来の子供の顔です。
驚いたことに、子供達は誰一人ドーナツにかぶりつきません、お腹がすいていたようなのに。そして私に「ありがとう」と言うと、それぞれ去っていきました。その後姿に向って、「なぜドーナツを食べないの?」と聞くと、みんな笑顔で振り向いて言いました。「家に帰って、兄弟と分けて食べる」
素敵なホテルのプールサイドに寝そべりながら、たった一つのドーナツを大切に抱えるようにして家に帰る子供達の姿がいつまでも頭から離れませんでした。五つのドーナツと引き換えに、いつまでも心に残る素敵なプレゼントをもらいました。

小さいのに、みんな怖い顔をしています。子供にお金を上げるのはいやなので、五人引き連れてフランチャイズのドーナツ屋さんに連れて行きました。ピンクの日除けのかかったドーナツ屋さんの前で、最初子供達は入るのをためらっていました。
「好きなドーナツを一つずつ選んでいいのよ」と言うと、いっせいに中に入って真剣に並んでいるドーナツを吟味しています。やがて、ドーナツを手に持って、子供達が店の外に出てきました。子供達の顔は、さっきとは別人のように明るく輝いていました。本来の子供の顔です。
驚いたことに、子供達は誰一人ドーナツにかぶりつきません、お腹がすいていたようなのに。そして私に「ありがとう」と言うと、それぞれ去っていきました。その後姿に向って、「なぜドーナツを食べないの?」と聞くと、みんな笑顔で振り向いて言いました。「家に帰って、兄弟と分けて食べる」
素敵なホテルのプールサイドに寝そべりながら、たった一つのドーナツを大切に抱えるようにして家に帰る子供達の姿がいつまでも頭から離れませんでした。五つのドーナツと引き換えに、いつまでも心に残る素敵なプレゼントをもらいました。
