サハラ砂漠で「こんにちわ!」
アルジェリアの赤い砂漠のオアシス、ティミムーンからチュニジアに行くために、バスに乗った。砂漠の中を走るバスは行けども行けども同じような景色なので方向感覚がつかめない。でも現地の人だけしか乗っていないバスに揺られながら、ボーっと流れ行く砂漠を見つめているのは心安らぐ時間だ。
何時間もたったころ、ようやくガルダイアにバスは到着した。このままワルグラに行くと思っていたのに、車掌は「次はビスクラだ」と叫んだ。びっくりして、「降りる」と言うと、まだ子供の車掌は悲しそうな顔をして、「ビスクラはいいところだからビスクラに行こう」などと言う。未だにあの眉根を寄せた彼の顔と、ビスクラという名まえを、はっきりと覚えている。
ガルダイアに到着していた、ワルグラ行きのバスのステップに憤然として足をかけると、思いがけなく大きな声で「こんにちわ!」と日本語が聞こえてきた。見上げると日本人の若い女性三人が乗っていて、親しみやすい笑顔でこちらを見ていた。暫く日本語はおろか、英語も耳にしていない旅だったので、気が緩んでうれしーくなった。
三人は東京の大学生で卒業旅行とのこと。すっかり意気投合して、ワルグラに着くと四人でレストランに直行し、砂漠に向って乾杯をした。その後、砂漠で記念撮影をしたりして、久しぶりの日本語で楽しい時間を過ごした。
サハラ砂漠を好んで旅をするような人は同じルーツというようなものを持っているような気がする。とても初対面とは思えず、その後暫く一緒に旅をしたが、心の底から愉快だった。

何時間もたったころ、ようやくガルダイアにバスは到着した。このままワルグラに行くと思っていたのに、車掌は「次はビスクラだ」と叫んだ。びっくりして、「降りる」と言うと、まだ子供の車掌は悲しそうな顔をして、「ビスクラはいいところだからビスクラに行こう」などと言う。未だにあの眉根を寄せた彼の顔と、ビスクラという名まえを、はっきりと覚えている。
ガルダイアに到着していた、ワルグラ行きのバスのステップに憤然として足をかけると、思いがけなく大きな声で「こんにちわ!」と日本語が聞こえてきた。見上げると日本人の若い女性三人が乗っていて、親しみやすい笑顔でこちらを見ていた。暫く日本語はおろか、英語も耳にしていない旅だったので、気が緩んでうれしーくなった。
三人は東京の大学生で卒業旅行とのこと。すっかり意気投合して、ワルグラに着くと四人でレストランに直行し、砂漠に向って乾杯をした。その後、砂漠で記念撮影をしたりして、久しぶりの日本語で楽しい時間を過ごした。
サハラ砂漠を好んで旅をするような人は同じルーツというようなものを持っているような気がする。とても初対面とは思えず、その後暫く一緒に旅をしたが、心の底から愉快だった。
