幸運なチャイニーズママとの出会い
人生にはいろんな出会いがある。誰と出会うかで、その人の人生は大きく変わる。我が息子は生後一週間でとても幸運な出会いをした。ニューヨーカーが好んで口にするフォーチュンクッキーの中からスペシャル大吉が出てきたときのような、未来が明るくなる出会い……
ニューヨークで出産を間じかに控えた私に、チャイニーズの同僚が声をかけてくれた。「赤ちゃんを預けるところあるの?」首を振る私に、彼女は明るく言った。「うちの子を預けているミセス・ラオに、一緒に見てもらえないか頼んであげる」
生まれて一週間のチビ助を、ダンナの運転する車に乗せて、同じクイーンズでも少し離れた住宅街にあるミセス・ラオの家に連れて行った。
ミセス・ラオは息子を一目見るなり、「まあ、かわいい!まだ生まれて一週間なのね」と感に堪えないように言った。ダンナも私も即、彼女に息子を託すことを決めた。
毎朝ダンナがミセス・ラオの家に息子を連れて行き、夕方二人で迎えに行った。秋も深まり寒い夜、いつものように窓越しに子供を受け取ろうとすると、ミセス・ラオは心配そうな顔をしてきいた。「ベイビーを包む毛布は持ってないの?」私が首を振ると、彼女はもう一度子供を連れて奥に引っ込んだ。再び現れたとき、子供は繭のように、暖かい小さな毛布で包まれていた。
一年後、ダンナの転勤でニューヨークからロスに引越しをすることになった。一歳になったばかりの息子はニューヨークからロスまでの飛行時間、づっと泣き通していた。よほど、ミセス・ラオとの別れが辛かったのだろう。
生後一年間、起きている時間の殆どを慈愛深きチャイニーズママと過ごした息子は、大切な部分で優しい子に育ってくれた。そして今、人の心の痛みが分からないとできない仕事を、ライフワークにしようとしている。

ニューヨークで出産を間じかに控えた私に、チャイニーズの同僚が声をかけてくれた。「赤ちゃんを預けるところあるの?」首を振る私に、彼女は明るく言った。「うちの子を預けているミセス・ラオに、一緒に見てもらえないか頼んであげる」
生まれて一週間のチビ助を、ダンナの運転する車に乗せて、同じクイーンズでも少し離れた住宅街にあるミセス・ラオの家に連れて行った。
ミセス・ラオは息子を一目見るなり、「まあ、かわいい!まだ生まれて一週間なのね」と感に堪えないように言った。ダンナも私も即、彼女に息子を託すことを決めた。
毎朝ダンナがミセス・ラオの家に息子を連れて行き、夕方二人で迎えに行った。秋も深まり寒い夜、いつものように窓越しに子供を受け取ろうとすると、ミセス・ラオは心配そうな顔をしてきいた。「ベイビーを包む毛布は持ってないの?」私が首を振ると、彼女はもう一度子供を連れて奥に引っ込んだ。再び現れたとき、子供は繭のように、暖かい小さな毛布で包まれていた。
一年後、ダンナの転勤でニューヨークからロスに引越しをすることになった。一歳になったばかりの息子はニューヨークからロスまでの飛行時間、づっと泣き通していた。よほど、ミセス・ラオとの別れが辛かったのだろう。
生後一年間、起きている時間の殆どを慈愛深きチャイニーズママと過ごした息子は、大切な部分で優しい子に育ってくれた。そして今、人の心の痛みが分からないとできない仕事を、ライフワークにしようとしている。
