宝塚の猫畑、猫にも格差社会が
宝塚にいたとき、隣家の裏庭には猫が11匹いた。私は、これを密かに猫畑と呼んでいた。時間になると、隣家の夫婦や毎日夕食を食べにくる孫娘が餌をやっていた。家の中にも4,5匹猫がいたので餌代も馬鹿にならないはずだ。
秋も深まった頃、愛想の悪い庭猫の茶トラが、かわいい子供を五匹産んだ。一匹が黒で後は全部茶トラだった。ミルクにパンを浸したのを、柵の間から手を入れて子ネコたちに与えると、チュパチュパと嬉しそうに食べた。
寒い冬の夜、家猫は中でぬくぬくしているのに、庭猫たちはダンボールの箱の中に入って震えていた。家猫が正社員、庭猫が非正規労働者、その落差に胸を打たれ時々栄養補給をしてやった。
庭ネコたちは暖かい家の中に入れてもらおうと、裏口から家人が姿を見せると、その足に取り付いたり、隙を見て家の中に入り込みつまみ出される、ということを続けていた。正社員になるのは厳しい。

子ネコ五匹はよく懐き、私が散歩に出ると、後ろから一列でついてきた。その中でも一番小さいチビと名付けた猫が、ある寒い夜、ドアの隙間から私の部屋の中に入り込んだ。初めての家の中、戸惑った様子が不憫だった。
宝塚には猫広場もあった。住宅地と畑が混在している場所に、毎朝二十匹近くの猫が集まり、餌をくれる人を待っているのだ。帽子で顔を隠すようにして、餌やりおばさんが現れると、猫たちの動きが激しくなった。
野良の多さでは宝塚はぴか一だ。その分、庭に糞をされたり(私も花壇にやられた)して恨みに思っている人も多く、「猫に餌をやるんじゃない」と怖い顔で訴えて回っている犬連れおじさん等もいた。
先日、宝塚へ行ったとき、猫畑の横を通りかかった。驚いたことに、チビが私の住んでいた家の前で待っていた。スリスリしてくる大きくなった頭を撫でながら、ふと忠猫という言葉が頭を過ぎった。猫は愛しい。

秋も深まった頃、愛想の悪い庭猫の茶トラが、かわいい子供を五匹産んだ。一匹が黒で後は全部茶トラだった。ミルクにパンを浸したのを、柵の間から手を入れて子ネコたちに与えると、チュパチュパと嬉しそうに食べた。
寒い冬の夜、家猫は中でぬくぬくしているのに、庭猫たちはダンボールの箱の中に入って震えていた。家猫が正社員、庭猫が非正規労働者、その落差に胸を打たれ時々栄養補給をしてやった。
庭ネコたちは暖かい家の中に入れてもらおうと、裏口から家人が姿を見せると、その足に取り付いたり、隙を見て家の中に入り込みつまみ出される、ということを続けていた。正社員になるのは厳しい。

子ネコ五匹はよく懐き、私が散歩に出ると、後ろから一列でついてきた。その中でも一番小さいチビと名付けた猫が、ある寒い夜、ドアの隙間から私の部屋の中に入り込んだ。初めての家の中、戸惑った様子が不憫だった。
宝塚には猫広場もあった。住宅地と畑が混在している場所に、毎朝二十匹近くの猫が集まり、餌をくれる人を待っているのだ。帽子で顔を隠すようにして、餌やりおばさんが現れると、猫たちの動きが激しくなった。
野良の多さでは宝塚はぴか一だ。その分、庭に糞をされたり(私も花壇にやられた)して恨みに思っている人も多く、「猫に餌をやるんじゃない」と怖い顔で訴えて回っている犬連れおじさん等もいた。
先日、宝塚へ行ったとき、猫畑の横を通りかかった。驚いたことに、チビが私の住んでいた家の前で待っていた。スリスリしてくる大きくなった頭を撫でながら、ふと忠猫という言葉が頭を過ぎった。猫は愛しい。
