移民の増加を憎む極右政党のキャンペーンで利用されていた、不快なメッセージが付いているコンドームを製造したドイツ企業が謝罪をした。その経緯は――
国家民主党(NPD)の青少年部隊は、『外国人や特定のドイツ人のために』というスローガンを冠した、ブラックボックスに入ったコンドームを注文製造した。そしてそれを、『"食い止めることのできない移民の流入』に対する抗議として、関連する議員に送付した。
避妊具につけられた不快なメッセージは、“純粋なドイツ人の血を尊び、他人種の血と混じらないように出産をコントロールしていた”ナチ党の政策を、ドイツ国民に思い起こさせた。

ハイデルベルクとドナウ川
その議員宛のコンドームに付けられた手紙には『移民を食い止めることに失敗した結果、ドイツの人口構成が大幅に変わってしまったという
大惨事に抗議する』と書かれていた。
緑の党の一議員が、コンドームを製造した会社R&Sに、この不始末について問い質した。
その結果、同社は謝罪し、右翼過激主義と反ユダヤ主義に反対するドイツの財団に、NPDから受け取った10,000個のコンドームの代金と同額を、寄付することを誓った。そして今後、依頼されたメッセージの内容をきちんとチェックすると約束した。
2003年にドイツでは、"人種差別主義者、反ユダヤ主義と修正主義"を公言する政党、NPDを禁止しようとしたが、失敗した。ナチスと共産主義政権が反対意見をシャットアウトしたという過去があるので、ドイツでは政党を禁止することに敏感になっているのだ。
戦後70年近くなっても、ドイツも日本も、負の遺産に未だに苦しんでいる。何はともあれ、同じ間違いを犯すまいとする大多数のドイツ人にエールを送りたい。

エッセン