深夜の110番
昨夜午前二時前、大きな声が聞こえて目が覚めた。建物の下で複数の男女がしゃべっているのだが、途中で怒鳴りあいになった。激しくなってきたので、非通知で110番した。
サンルームから下を覗くと、赤いフードつきの食堂の前に数人が集まっている模様。実況中継をした後、場所を教えて電話を切った。最後の会話、「良かったら名前を教えてもらえませんか」「ちょっと、それは。何かで名前が漏れると仕返しされそうで怖いから」と私。なぜなら……
以前横断歩道を渡っていたとき、私の面前を停まらずに行き過ぎた車がいた。即、待ち構えていた交通警察官に捕まった。警察官の一人が私のところへ来て、連絡先と名前を聞いた。書きながら大声がするので振り向くと、捕まった運転手が車の外に出て警察官と掴み合いをしていた。公務執行妨害で逮捕されたかもしれない。あの後、正直に名前を書いたことをものすごく後悔した―― という経緯があったからである。
さて、電話を切った後、車を運転するときだけにかける眼鏡をかけ、窓を開けて現場の観察を続けた。しゃがんで泣く中学生くらいの男の子(泣き声から推定)の背中を母親が抱いている。その前に、「何で、そんなことするのん!」と言う声が聞こえ、大人の男の声が怒鳴り返し、女性が絶叫していたので、たぶん家族内の争いだろう。
ぴぽぴぽと救急車がやってきて、母親と子供の横に担架を置いたのに、子供が大声で「行かない」と叫び、泣き続けている。駆けつけた数人の警察官が説得しているが、状態は膠着したまま動かない。救急隊員も警察官も、そして仲裁をしていた店の主人を含む十人近くの人々も長い間立ち尽くしていた。気の毒だ。
今日本の殺人事件の半分は家族間で起こっている。怒りの暴発具合によっては最悪の事態になっていたかもしれない昨夜の事件。貧しくても家族仲良く暮らしているミャンマーの人々の笑顔を思い出すと、人の幸せは心の持ち方にあるのではないかとしみじみと考えてしまった。私たちに必要なのは、本当の意味での宗教心かもしれない。

サンルームから下を覗くと、赤いフードつきの食堂の前に数人が集まっている模様。実況中継をした後、場所を教えて電話を切った。最後の会話、「良かったら名前を教えてもらえませんか」「ちょっと、それは。何かで名前が漏れると仕返しされそうで怖いから」と私。なぜなら……
以前横断歩道を渡っていたとき、私の面前を停まらずに行き過ぎた車がいた。即、待ち構えていた交通警察官に捕まった。警察官の一人が私のところへ来て、連絡先と名前を聞いた。書きながら大声がするので振り向くと、捕まった運転手が車の外に出て警察官と掴み合いをしていた。公務執行妨害で逮捕されたかもしれない。あの後、正直に名前を書いたことをものすごく後悔した―― という経緯があったからである。
さて、電話を切った後、車を運転するときだけにかける眼鏡をかけ、窓を開けて現場の観察を続けた。しゃがんで泣く中学生くらいの男の子(泣き声から推定)の背中を母親が抱いている。その前に、「何で、そんなことするのん!」と言う声が聞こえ、大人の男の声が怒鳴り返し、女性が絶叫していたので、たぶん家族内の争いだろう。
ぴぽぴぽと救急車がやってきて、母親と子供の横に担架を置いたのに、子供が大声で「行かない」と叫び、泣き続けている。駆けつけた数人の警察官が説得しているが、状態は膠着したまま動かない。救急隊員も警察官も、そして仲裁をしていた店の主人を含む十人近くの人々も長い間立ち尽くしていた。気の毒だ。
今日本の殺人事件の半分は家族間で起こっている。怒りの暴発具合によっては最悪の事態になっていたかもしれない昨夜の事件。貧しくても家族仲良く暮らしているミャンマーの人々の笑顔を思い出すと、人の幸せは心の持ち方にあるのではないかとしみじみと考えてしまった。私たちに必要なのは、本当の意味での宗教心かもしれない。
