シェムリアップ空港で床に叩きつけられたバッグ
三月下旬、夕方のシェムリアップ空港で凄いものを二つ見た。アンコール遺跡を控えたこの空港は、小さいながらも世界中からの観光客が自分のフライトを待っている場所。
まず、登場したのは身なりの良い四十代くらいの中国人男性。おもむろにゴミ箱の蓋を開けると、突然、中に痰を吐いた。香港の人が嫌がるこれを、目の当たりにしたのは初めてだ。
じぇじぇと思っていると、次に登場したのは少し小太りの、ピンクの服、靴、バッグを身につけ、小ぶりのピンクのキャリーバッグを引いた20代後半くらいの女性。何やらぷりぷり怒っている。
その後を同じ年頃のスマートな女性が追いかけてきた。ピンクの女性に追いつくと、何やら必死で説得をしている様子。すると、突然、ピンクの女性が咆哮をあげ、その後大声で喚き始めた。一瞬、静まり返った出発ロビー。
衆目監視の下、次に彼女は激しく地団太を踏むと、肩にかけていたピンクのバッグを思い切り床に叩きつけた。そのとたんスマートな女性は、ヒェーとばかりに一目散に元来た方向へ戻って行った。凍りついた出発ロビー。
正視できなくて一瞬下を向き、すぐ目を上げると、既に彼女はいなかった、バッグと共に。あの癇癪玉の破裂は怒髪天を抜く勢いだった。今流行の言葉で言えば、正しくじぇじぇじぇじぇである。

アンコール ワット (トリップアドバイザー提供)
まず、登場したのは身なりの良い四十代くらいの中国人男性。おもむろにゴミ箱の蓋を開けると、突然、中に痰を吐いた。香港の人が嫌がるこれを、目の当たりにしたのは初めてだ。
じぇじぇと思っていると、次に登場したのは少し小太りの、ピンクの服、靴、バッグを身につけ、小ぶりのピンクのキャリーバッグを引いた20代後半くらいの女性。何やらぷりぷり怒っている。
その後を同じ年頃のスマートな女性が追いかけてきた。ピンクの女性に追いつくと、何やら必死で説得をしている様子。すると、突然、ピンクの女性が咆哮をあげ、その後大声で喚き始めた。一瞬、静まり返った出発ロビー。
衆目監視の下、次に彼女は激しく地団太を踏むと、肩にかけていたピンクのバッグを思い切り床に叩きつけた。そのとたんスマートな女性は、ヒェーとばかりに一目散に元来た方向へ戻って行った。凍りついた出発ロビー。
正視できなくて一瞬下を向き、すぐ目を上げると、既に彼女はいなかった、バッグと共に。あの癇癪玉の破裂は怒髪天を抜く勢いだった。今流行の言葉で言えば、正しくじぇじぇじぇじぇである。

アンコール ワット (トリップアドバイザー提供)