本当は怖い子供の親を見る目
息子が小学校の低学年の頃、外でいやなことがあって落ち込んでいた私に、ポツリと言った。「どうしたん、元気ないやん」
はっとした。こちらの気持ちを読んでいる。しょうもないことでクヨクヨなんかしていられない。背筋を伸ばして、すぐに立ち直れた私。
探し物が見つからないとき、子供が言った。「おかあさんは、出てくるのに時間がかかる。田舎のおばあちゃんの家に行くと、何でもすぐに出てくるのに」
はいはい、すみません。田舎のおばあちゃんは整理整頓の神様、そしてそれは、おかあさんには遺伝しなかったのです。おどけて答えたが、的確な一言に冷や汗をかいた。
子供がまじめな顔をして話しかけてきたとき、家事をしながら適当に答えると、「いいかげんな気持ちで返事をしているやろ。すぐ分かるから」と言われて焦ったことも。
また、田舎の母に、(遠慮がない間柄なので)うっかり思いやりの無い言葉を投げつけてしまった後、しまったと思った。部屋の隅で、子供がじっと聞いていたのに気付いたのだ。
私と弟は母から厳しい躾を受けたので、子供にも同じように躾をした。しかし、母の躾は弟のみに結実し、私は破天荒な性格に育った。そこで息子から、自分の受けた躾と私の行動のアンバランスをつかれることもしばしば。
「おかあさん、そういうことをしたら駄目やろ。前にお母さんがそう言ったやん」云々。
今でも思い出す。毎朝保育園に送って行くと、再び門の所まで戻ってきて、会社に行く私をじっと見送ってくれた息子の姿。笑いも泣きもせず、ただ黙って、私が角を曲がって見えなくなるまで見つめていた一途な目。
子供は親の背中だけではなく、内面にも鋭い視線を送っている。最低限、親は人に恥ずべきことはできません。子供に育てられるとはこのことかしら。

はっとした。こちらの気持ちを読んでいる。しょうもないことでクヨクヨなんかしていられない。背筋を伸ばして、すぐに立ち直れた私。
探し物が見つからないとき、子供が言った。「おかあさんは、出てくるのに時間がかかる。田舎のおばあちゃんの家に行くと、何でもすぐに出てくるのに」
はいはい、すみません。田舎のおばあちゃんは整理整頓の神様、そしてそれは、おかあさんには遺伝しなかったのです。おどけて答えたが、的確な一言に冷や汗をかいた。
子供がまじめな顔をして話しかけてきたとき、家事をしながら適当に答えると、「いいかげんな気持ちで返事をしているやろ。すぐ分かるから」と言われて焦ったことも。
また、田舎の母に、(遠慮がない間柄なので)うっかり思いやりの無い言葉を投げつけてしまった後、しまったと思った。部屋の隅で、子供がじっと聞いていたのに気付いたのだ。
私と弟は母から厳しい躾を受けたので、子供にも同じように躾をした。しかし、母の躾は弟のみに結実し、私は破天荒な性格に育った。そこで息子から、自分の受けた躾と私の行動のアンバランスをつかれることもしばしば。
「おかあさん、そういうことをしたら駄目やろ。前にお母さんがそう言ったやん」云々。
今でも思い出す。毎朝保育園に送って行くと、再び門の所まで戻ってきて、会社に行く私をじっと見送ってくれた息子の姿。笑いも泣きもせず、ただ黙って、私が角を曲がって見えなくなるまで見つめていた一途な目。
子供は親の背中だけではなく、内面にも鋭い視線を送っている。最低限、親は人に恥ずべきことはできません。子供に育てられるとはこのことかしら。
