グァムで急にお寿司が食べたくなり、泊まっていたホテルの回転寿司屋に行った。韓国語が飛び交っていて、回転するテーブルの真ん中で寿司を握っている三人も韓国人だった。ふと気づいたチーフ格の男性の目の鋭さ、只者ではない。
活きがいい大ぶりのまぐろが載った寿司は時々しか出さなくて、天麩羅や得体の知れないものの載った皿が多かった。まぐろは、椅子に座っている人に行き渡るように、さじ加減をしてベルトコンベアに載せられていた。
同じ人がおいしいマグロをたくさん食べることができないように、微妙に調節されていたのだ。食欲が一気に落ちた。回転寿司のベルトコンベアはアンタッチャブルに願いたい。
ハワイで、きれいな運河沿いにあるホテルに泊まった。すぐそばが公園やゴルフ場、距離はあるが正面にはダイヤモンドヘッドが見えるという、眺め抜群で経済的なホテル。おまけにワイキキビーチまで歩いてすぐと地の利も良い。
パンとコーヒーや紅茶、パイナップルというささやかな、プールサイドで食べる朝食もついていた。パンはトーストが殆どだが、気をつけているとクロワッサンが時々出た。バジェットの問題だろう。
ある朝、クロワッサンが見当たらないので「隠しているんでしょ」と言うと、日系人の少年が困ったような顔をしてクロワッサンを出してきた。それ以来私の顔を見ると、クロワッサンを出すようになった。
一度ハワイに住むことを考えて、現地調査に行ったとき、スーパーを経営する日系人のオーナーが忠告してくれた。「ハワイで暮らすとのんびりしすぎて、子供が怠け者になってしまうから止めた方がいいよ」
マグロの出し方のさじ加減をする儲け上手な韓国人の回転寿司屋と、素直にクロワッサンを出してしまう日系人のおとなしい少年。何となくサムソンにやられている日本の家電メーカーを思い出してしまうのですが……