非情な外資系企業
ほぼ派遣社員から外資系の企業の経理部長になった私は、週日は東京で仕事をし、週末に大阪に帰るという生活を三ヶ月続けた。そして、会社を東京から神戸に移転させるために尽力した。
さて、ここで気の毒なのは今まで東京で勤めていた社員である。給料もよく、待遇もよく、日本支社長夫妻の暖かい人柄もあって、定年まで安泰だと考えていた職場が神戸に移ってしまったのである。
移転後、数人が事務処理のため神戸にやってきた。これから仕事がなくなり不安に駆られている管理部系の女性たちの嘆きを、目の当たりにするのは辛かった。悲嘆にくれて本音を吐露する人の前では、人は黙るしかない。
それから一年後、あろうことか、その会社は日本支社を閉鎖した。最後まで一人海の見えるオフィスに残って、会社を閉める手続きをした。そんなある日、あることに思い至った。
東京から神戸に移転したのは、社員の大半を引越しというカムフラージュのもとに切るためだったのではないか。もしそうなら、最初から会社は採算の悪化した日本支社を閉鎖するつもりだったのだ。何たる周到さ。
同様の事例の現在進行形の話もある。関西にある外資系企業が、東京にある日本の会社を傘下に収めた。さっそく東京を閉めるので、ごく一部の社員を除いて、大半の社員は来年早々路頭に迷うことになる。この年末を、その人達がどんな思いで迎えるのかと思うと胸が痛む。
昭和たけなわの頃社員に優しかった日本の企業も、不景気が続く今、外資系に負けない非情さで人の首を切っている。豊かで安泰な上層部には、生活の糧を失くする人々の痛みは分からない。
まずリストラと考える前に、企業努力の限りを尽くすべきだ。安易に外資系のまねはしないでほしい。

さて、ここで気の毒なのは今まで東京で勤めていた社員である。給料もよく、待遇もよく、日本支社長夫妻の暖かい人柄もあって、定年まで安泰だと考えていた職場が神戸に移ってしまったのである。
移転後、数人が事務処理のため神戸にやってきた。これから仕事がなくなり不安に駆られている管理部系の女性たちの嘆きを、目の当たりにするのは辛かった。悲嘆にくれて本音を吐露する人の前では、人は黙るしかない。
それから一年後、あろうことか、その会社は日本支社を閉鎖した。最後まで一人海の見えるオフィスに残って、会社を閉める手続きをした。そんなある日、あることに思い至った。
東京から神戸に移転したのは、社員の大半を引越しというカムフラージュのもとに切るためだったのではないか。もしそうなら、最初から会社は採算の悪化した日本支社を閉鎖するつもりだったのだ。何たる周到さ。
同様の事例の現在進行形の話もある。関西にある外資系企業が、東京にある日本の会社を傘下に収めた。さっそく東京を閉めるので、ごく一部の社員を除いて、大半の社員は来年早々路頭に迷うことになる。この年末を、その人達がどんな思いで迎えるのかと思うと胸が痛む。
昭和たけなわの頃社員に優しかった日本の企業も、不景気が続く今、外資系に負けない非情さで人の首を切っている。豊かで安泰な上層部には、生活の糧を失くする人々の痛みは分からない。
まずリストラと考える前に、企業努力の限りを尽くすべきだ。安易に外資系のまねはしないでほしい。
