アビニョンの橋を渡ると、そこはミラクルワールドだった
城塞都市アビニョンから、ローヌ川にかかる橋を渡って、ビルヌーブ‐レザビニョンに行った。橋の上は風が強く、前から来た女性も吹き飛ばされそうになり、互いに健闘を称えあう。
ようやく橋を渡りきった所で振り返ると、城壁に囲まれたアビニョンの街の全景とサン・ベネゼ橋が見えた。紅葉した木々の鮮やかな色との調和が見事だ。
ビルヌーブ‐レザビニョンで、目指すは中世の要塞と修道院。フィリップ・ベル塔を後にして、石畳の坂道を上っていくと、道の右側には樹木の向こうに古い家並みが見え隠れし、左手には田舎風邸宅が続いた。
11月のせいか、誰もいないし、木々の梢を渡る風以外には物音一つしない。『そして誰もいなくなった』中世の、美しい村に迷い込んだのだろうか。
やがて右手の高台に威風堂々たるサンタンドレ要塞が見えた。受付にいたお姫様のように美しいマドモワゼルが、アビニョンに法王庁が移された時には、フランス王はこの町から、それを監視していたのだと説明してくれた。
修道院は想像以上に広大だった。たくさんの部屋や中庭、くねくねとあちこちに延びている回廊、おまけにその日は他の見学者は殆どいなかった。
とうとう迷ってしまった。どうしても元来た場所に出ることができない。ついに、見覚えのある部屋や庭を捜して回廊を走った、二度と出られなくなるのではないかという恐怖に駆られながら。
ひょっとしたら、あの修道院の回廊の一つは異次元に繫がっていたのかもしれない。勇気があれば渡ることができたのでは…… と後で焼き栗を食べながら考えた。
アビニョンの橋の向こうにはミラクルワールドが広がっている。又行きたい。

ようやく橋を渡りきった所で振り返ると、城壁に囲まれたアビニョンの街の全景とサン・ベネゼ橋が見えた。紅葉した木々の鮮やかな色との調和が見事だ。
ビルヌーブ‐レザビニョンで、目指すは中世の要塞と修道院。フィリップ・ベル塔を後にして、石畳の坂道を上っていくと、道の右側には樹木の向こうに古い家並みが見え隠れし、左手には田舎風邸宅が続いた。
11月のせいか、誰もいないし、木々の梢を渡る風以外には物音一つしない。『そして誰もいなくなった』中世の、美しい村に迷い込んだのだろうか。
やがて右手の高台に威風堂々たるサンタンドレ要塞が見えた。受付にいたお姫様のように美しいマドモワゼルが、アビニョンに法王庁が移された時には、フランス王はこの町から、それを監視していたのだと説明してくれた。
修道院は想像以上に広大だった。たくさんの部屋や中庭、くねくねとあちこちに延びている回廊、おまけにその日は他の見学者は殆どいなかった。
とうとう迷ってしまった。どうしても元来た場所に出ることができない。ついに、見覚えのある部屋や庭を捜して回廊を走った、二度と出られなくなるのではないかという恐怖に駆られながら。
ひょっとしたら、あの修道院の回廊の一つは異次元に繫がっていたのかもしれない。勇気があれば渡ることができたのでは…… と後で焼き栗を食べながら考えた。
アビニョンの橋の向こうにはミラクルワールドが広がっている。又行きたい。
