『オリーブの首飾り』の後で
海が好きな私は、朝大阪から車で和歌山の串本まで行き、テーブル珊瑚の海でシュノーケリングをした後、夕方大阪に戻ってくるというスケジュールを何度かこなしていた。
最後にそれをやったとき、究極の恐怖を味わった。その日もいつも通り、串本で熱帯魚と一緒に珊瑚の上を泳ぎ、海の幸をアルコールフリーのビールで楽しみ、空が少しピンク色になる頃帰途についた。
『オリーブの首飾り』を聴きながら、エーゲ海にも引けをとらない海岸通りを走るのはすごく快適。途中、抜群の海が見られる恋人岬で車を止め、ドアを開けて外に出た。車から少し離れた後、振り向いてギョッとした。
運転席側の窓が開いていたのだ。急いで戻り、窓から手を入れて車のエンジンをかけた。そしてその後、オートロックの窓を閉じるポッチを押した。さっと下から上がってくる窓ガラス。あわてて鍵を抜こうとしたが、既に腕を強く押し上げるガラスに阻まれて、鍵に手が届かない。
鍵を閉じ込めると大変なことになる。必死で、上がってくる窓ガラスを阻止しようとしているうちに、とうとう指を挟まれてしまった。『指が切断される』髪の毛が逆立った。
「助けてー!!!」と、太平洋に響き渡る断末魔の叫び声。近くにいた若者が数人駆け寄ってきて、窓を押さえてくれた。おかげで挟まれていた指を抜くことができた私。窓はすぐにピタッと閉ざされ、密閉された車の中に鍵は残された。と、そのとき、若い女の子のあっけらかんとした声が……
「こっちの窓、開いてんで」 何と助手席側の窓も目一杯開いていたのだ。みんな「エーッ!」と言った後、ドッと笑い声が上がった。突然頬っぺたが夕焼けに染まった。
周りにいた若者達から「良かったやん、鍵取れて」「指も無事やし」と暖かい言葉。目から涙がポロン。あれ以来、『大阪串本日帰りドライブ・シュノーケリングツアー』はひとまずお休みにしている。

最後にそれをやったとき、究極の恐怖を味わった。その日もいつも通り、串本で熱帯魚と一緒に珊瑚の上を泳ぎ、海の幸をアルコールフリーのビールで楽しみ、空が少しピンク色になる頃帰途についた。
『オリーブの首飾り』を聴きながら、エーゲ海にも引けをとらない海岸通りを走るのはすごく快適。途中、抜群の海が見られる恋人岬で車を止め、ドアを開けて外に出た。車から少し離れた後、振り向いてギョッとした。
運転席側の窓が開いていたのだ。急いで戻り、窓から手を入れて車のエンジンをかけた。そしてその後、オートロックの窓を閉じるポッチを押した。さっと下から上がってくる窓ガラス。あわてて鍵を抜こうとしたが、既に腕を強く押し上げるガラスに阻まれて、鍵に手が届かない。
鍵を閉じ込めると大変なことになる。必死で、上がってくる窓ガラスを阻止しようとしているうちに、とうとう指を挟まれてしまった。『指が切断される』髪の毛が逆立った。
「助けてー!!!」と、太平洋に響き渡る断末魔の叫び声。近くにいた若者が数人駆け寄ってきて、窓を押さえてくれた。おかげで挟まれていた指を抜くことができた私。窓はすぐにピタッと閉ざされ、密閉された車の中に鍵は残された。と、そのとき、若い女の子のあっけらかんとした声が……
「こっちの窓、開いてんで」 何と助手席側の窓も目一杯開いていたのだ。みんな「エーッ!」と言った後、ドッと笑い声が上がった。突然頬っぺたが夕焼けに染まった。
周りにいた若者達から「良かったやん、鍵取れて」「指も無事やし」と暖かい言葉。目から涙がポロン。あれ以来、『大阪串本日帰りドライブ・シュノーケリングツアー』はひとまずお休みにしている。
