『ゴッドファーザー愛のテーマ』が誘い出すセピア色のニューヨーク
先日旅立たれたアンディ・ウィリアムズの歌う『ゴッドファーザー愛のテーマ』を聴きながら、思い出したのはニューヨークの混雑する市場でのできごと。
生後10日になったばかりの子供を抱えて、夕方近くの市場に食材の買い出しに出かけた。いろんな国から集まってきた人たちのお国言葉が飛び交う、一日で一番混雑する時間帯だ。
そんなとき、ソーセージやハムを山のように並べたカウンターの中にいた肉屋の主人が、子供を抱かせてくれと言った。カウンター越しに手渡すと、腕に抱えた息子の寝顔を見ながら 「ハウ オールド?」と聞いたので、「ちょうど10日目」と答えた。
東欧系大男の主人に抱かれるといっそう小さく見える息子を、彼は頭の上に持ち上げて叫んだ。
「みんな、見てくれ、生まれてたった10日目の赤ん坊だ。10日だぞ!」
笑顔を浮かべた買い物客がカウンターの前に集まってきた。そして口々に叫んだ、「神のご加護がありますように」。 まだ目も見えない息子のために、温かい言葉のプレゼントに胸が熱くなった。
子供を持ち上げた肉屋の主人と、それを囲む人々が居た市場の風景は、スクリーンで見たゴッドファーザーや、タイタニックのディカプリオが走り回っていた頃のニューヨークと何ら変わりはなかった。どちらもセピア色で懐かしい。
三ヵ月後、背負子に入れた子供と一緒に見た、夕闇に浮かび上がるセントラルパークのピンクのバラと共に、あのときのセピア色の光景はいつまでも心に残っている。息子の心にも残っているかしら。

生後10日になったばかりの子供を抱えて、夕方近くの市場に食材の買い出しに出かけた。いろんな国から集まってきた人たちのお国言葉が飛び交う、一日で一番混雑する時間帯だ。
そんなとき、ソーセージやハムを山のように並べたカウンターの中にいた肉屋の主人が、子供を抱かせてくれと言った。カウンター越しに手渡すと、腕に抱えた息子の寝顔を見ながら 「ハウ オールド?」と聞いたので、「ちょうど10日目」と答えた。
東欧系大男の主人に抱かれるといっそう小さく見える息子を、彼は頭の上に持ち上げて叫んだ。
「みんな、見てくれ、生まれてたった10日目の赤ん坊だ。10日だぞ!」
笑顔を浮かべた買い物客がカウンターの前に集まってきた。そして口々に叫んだ、「神のご加護がありますように」。 まだ目も見えない息子のために、温かい言葉のプレゼントに胸が熱くなった。
子供を持ち上げた肉屋の主人と、それを囲む人々が居た市場の風景は、スクリーンで見たゴッドファーザーや、タイタニックのディカプリオが走り回っていた頃のニューヨークと何ら変わりはなかった。どちらもセピア色で懐かしい。
三ヵ月後、背負子に入れた子供と一緒に見た、夕闇に浮かび上がるセントラルパークのピンクのバラと共に、あのときのセピア色の光景はいつまでも心に残っている。息子の心にも残っているかしら。
