お金が無いほうが楽しい場合もある

つらつら考えるに、人生にはお金が無い方が楽しい場合もある。旅をして面白い出会いがあったりするのは、たいてい三流ホテルやＢＢに泊まっている時である。ハノイの楽しさはパシフィックスターホテル抜きには語れない。

ドアマンからフロントパーソン、キッチンスタッフに至るまで、前世で家族だったのではないかと思える位今でも懐かしい人たちだ。お金がある人は、旧市街の混沌のど真中にある一泊30ドルのあんなホテルには絶対に泊まったりしないだろう。

　　
エックス アン プロヴァンス (トリップアドバイザー提供)

エクスアンプロヴァンスで泊まったホテルでは、真珠の耳飾りの少女と同じような服装をした少女が、はにかみながらポットに入れた紅茶を持ってきてくれた。ドイツのＢＢではドアが開かずに体当たりをしていると、女将さんが血相を変えて走って来た。プッ！

ホテルだけではなくて、インドで乗った三等車やアメリカ大陸を横断したグレイハウンドバスで出会った一期一会の人々、不思議なことに今でもはっきりと、その時の情景や笑顔を覚えている。お金は無くても、心資産の豊かな人生は幸せだと思う。


コルカタ (カルカッタ) (トリップアドバイザー提供)