北アフリカのマグレブ三国を旅していたとき、モロッコとアルジェリアの国境を陸路で越えたことがあった。
先ず、マラケシュからバスでワルザザードへ向った。ワルザザードでバスを乗り換えて、アルジェリアのベシャールへ抜けようとしていたのである。
バスはアトラス山脈を越えて六時間ひた走る。真っ青な空には白い雲が浮び赤茶けた大地の向こうにはそれでも緑らしきものをまとった山が見えた。デジャブを感じる景色だ。
バスの中は寡黙な現地の人ばかり。マラケシュの通称クレージー広場でおしゃべりなモロッコ人を見てきた目には驚きだった。でも、その静けさが少し疲れていた旅人には心地良かった。
バスは終点ワルザザードに着いた。軽い砂嵐が吹く中をぶらぶらと歩き回った。地の果てに来たような気がした。さすが日本人はいないなと思い込んでいた。甘かった。
砂嵐の中から日の丸の鉢巻が現れたのである。ギョッとした。”地球の歩き方”を一心不乱に読みながら歩いてくる若者は戸惑ったような顔をしていた。大変なところに来てしまったと思っていたのだろうか。
オリンピックの競技会場で振られる日の丸を見ていて、ふとあのときの鉢巻を思い出した。
彼はあれからどうしたのだろう。

先ず、マラケシュからバスでワルザザードへ向った。ワルザザードでバスを乗り換えて、アルジェリアのベシャールへ抜けようとしていたのである。
バスはアトラス山脈を越えて六時間ひた走る。真っ青な空には白い雲が浮び赤茶けた大地の向こうにはそれでも緑らしきものをまとった山が見えた。デジャブを感じる景色だ。
バスの中は寡黙な現地の人ばかり。マラケシュの通称クレージー広場でおしゃべりなモロッコ人を見てきた目には驚きだった。でも、その静けさが少し疲れていた旅人には心地良かった。
バスは終点ワルザザードに着いた。軽い砂嵐が吹く中をぶらぶらと歩き回った。地の果てに来たような気がした。さすが日本人はいないなと思い込んでいた。甘かった。
砂嵐の中から日の丸の鉢巻が現れたのである。ギョッとした。”地球の歩き方”を一心不乱に読みながら歩いてくる若者は戸惑ったような顔をしていた。大変なところに来てしまったと思っていたのだろうか。
オリンピックの競技会場で振られる日の丸を見ていて、ふとあのときの鉢巻を思い出した。
彼はあれからどうしたのだろう。

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